2012年5月21日月曜日

日経「日本は南欧化するのか?」

世は金環日食一色である。大阪は7:28がその時だというので、早めにモーニングを切り上げて、学校近くのローソンに向かった。時間切れで読み切れなかった日経の記事が気になったので買うことにしたのだ。すると、オーナーを始め近隣の方と本校の生徒が観測をしていた。(笑)「先生も使ってください。」と観測メガネを渡してもらえた。ちょっと曇っていたので肉眼でも見えた。ローソンで会った生徒とワイワイ言いながら登校したのだった。こういうの、いいよなあ。

さて、本題の日経の記事である。私の大好きなコラム「経済教室」、比較制度分析が専門の鶴光太郎慶大教授の「日本は南欧化するのか?」というタイトルである。G8の論議でもそうだが、財政健全化と社会保障費を中心にした歳出の増加の二律背反に悩んでいる先進国の構造を、この記事は見事に分析していた。
『共に大きな政府が志向されるのに、なぜ北欧と南欧では財政健全性に大きな違いがあり、英米などアングロサクソンの国では小さな政府が志向されるのかを統一的に理解する枠組みが必要になる。』フランス人の研究成果をもとに、鶴教授は、以下のように分析する。

福祉国家を考える場合、国民の公共心が重要である。公共心が高いということは、脱税や社会給付の不正受給などをしないことを意味する。国民の公共心が高ければ公務員も汚職や不正をせず、透明性が高く効率的な政府が構築されやすい。周りに公共心が高い人が多いと考えれば高い税負担とそれに応じた社会給付を受け入れる。一方、公共心のない人が多い場合、公共心のある人よりさらに強く再配分政策を求める。税負担を逃れながら給付の恩恵にただ乗りするからである。すなわち、国民の公共心の高さと再配分への支持(福祉国家の規模)は単調な正の関係ではなく、『まじめな国民・公務員が多いため、大きいが効率的な福祉国家』と『不正を働く国民・公務員が多いため大きく非効率的な福祉国家』の2種類が存在することになる.。前者が北欧・オランダといった諸国で、後者が南欧(フランス・イタリア・スペイン・ギリシア)の状況である。次のような面白いグラフが載っていた。(これが欲しくて、わざわざ買ったのだった。)

アングロサクソン諸国は、公共心の高さが中程度で国民の再分配への支持は相対的に弱く、小さな政府が志向されるらしい。実は日本もこのグループに入るのだ。これらは、「文化」的な問題なのかという疑問が起こるが、別の調査によると、欧州の移民の第一世代は出身国の影響が強いが、第二世代は地域に適応するらしい。要するに公共心は文化の影響だとはいえないらしい。では日本はというと、過去25年間ほぼ公共心の高さは先進国では中程度。しかしながら、90年代以降、政治家・政府霞が関・公務員への不信感がアップしている。「南欧化」は決して文化ではない。このまま、政治不信・公務員不信が続くと財政破たんへと進むというのが結論だった。
なるほど。90年以後自民党で首相交代が続き、民主党が政権を取ったものの、素人集団が官僚排除を行い、政府の威信は地に堕ちてしまった。今や公務員を攻撃することが流行にまでなってしまった。こんなことをやってるとますます「南欧」化していくよなあ。

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