2017年11月21日火曜日

帝国の復興と啓蒙の未来(8)

ルソーの社会契約論
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Du-contrat-social-
Principes-politique/
dp/1549767127
「帝国の復興と啓蒙の未来」備忘録、いよいよ最終エントリーである。中田氏は、西欧的人権について、イスラーム法学者の立場から批判している。イスラーム法は属人法であるが、普遍的とされる西欧の人権は、他の文明圏への押しつけでしかないと。

ここでルソーの「社会契約論」が引用されている。
(ユダヤの法と)10世紀ものあいだ世界の半ばを支配してきたイシュマエル(アブラハムが奴隷に生ませた子である。イサクの義兄弟に当たる:アラブ人の祖とされる)の子(=ムハンマド)の法は、これらを制定した人々の偉大さを、いまなお告げている。そして高慢な哲学者や盲目な党派心をもつ輩は、これらの法律を制定した人々は幸運な山師にすぎないと考える。しかし真の政治家はこうした制度のうちに、永続的な事業を司る偉大で強力な精神の現れをみいだし、称えるのである。

…ルソーは、一般意志という概念を主張していることで有名だが、人間に法を与えるのは神でなければならない。と同じ「社会契約論」で述べているとのこと。この辺の感覚は私にも理解できる。一般意志と神定法であるイスラーム法は共通点が多いと思われる。

この中田考氏の著作の帯には「読み終わったとき、もっとも危険な世界史が見えてくる。」とある。中田考氏の著作を読み込んでいる身には、あまり帯コピーのような実感はないのだけれど、(初めて中田考氏を呼んだ方には)決してウソではないと思う。

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